• 2022.09.28

経営者と経営理念ーパタゴニア創業者による環境団体への全株譲渡と価値観ー

 

 

 皆様こんにちは、山田です。

 アウトドアアパレルメーカーのパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード氏が、同社の全株式を環境危機と闘い自然を守る非営利団体と会社の価値観を守るために設定された信託に譲渡する、と発表したニュースをご存知でしょうか?

 今回は、このニュースから経営理念について考えたいと思います。

 

1.ニュースの内容

 

 パタゴニアのホームページを開くと「地球が私たちの唯一の株主」と表示されています。

 

 イヴォン・シュイナードからの手紙というページの中で

 「環境危機への取り組みにベストを尽くしてきましたが十分ではありません。私たちはパタゴニアの価値観を維持しつつ、この危機と闘うためにより多くの資金を投入する方法を見つける必要がありました。」

として今回の決断の経緯が記載され、会社売却と株式公開という一般的な選択肢には問題があったため、今回の環境団体への株式譲渡という方法を作り出したとしています。

 

 会社売却と株式公開の問題点としては、次のように書かれています。

 

 「選択肢の一つはパタゴニアを売却してその売却益をすべて寄付すること。しかし、私たちの価値観や世界中で雇用されている人材を維持してくれる新たなオーナー(所有者)を見つけられるという確信はありませんでした。」

 「もう一つの選択肢は、会社の株式を公開することでした。とんでもない失敗になったでしょう。どんなに素晴らしい志のある公開会社でも、短期的な利益を得るために長期的な活力や責任を犠牲にしなければならないという過剰なプレッシャーに晒されます。」

 

 そして、「自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えるのではなく、パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用する」仕組みとして、今回の方法を次のように説明しています。

 

 「会社の議決権付株式の100%を会社の価値観を守るために設定されたPatagonia Purpose Trustに譲渡し、無議決権株式の100%を環境危機と闘い自然を守る非営利団体Holdfast Collectiveに譲渡する、というものです。また、毎年、事業に再投資を行った後の剰余利益を配当金として分配することで、パタゴニアから環境危機と闘うための資金を提供します。」

 

 各種メディアによると株式は30億ドル(約4,300億円)に相当し、Holdfast Collectiveには年間約1億ドル(約140億円)が分配される見込みとのことです。

 

2.経営理念について

 

 パタゴニアの目的は「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と記載されています。

 この全社共通の価値観を実現するための行動が、今回の創業者の決断として現れたのだと思います。

 逆にこのような目的や価値観、別の言い方をすればミッションや経営理念が全社に浸透していなければ、事業継続に大きな影響を与えかねない決断とも言えます。

 いくら崇高な理念を掲げても社員とその家族の生活を守れないようでは会社は存続できません。

 

 会社は目的のために存在し、その目的実現のために全社一丸になって行動していく。

それを見て新たな仲間が集まり、世の中を変えていく。

 変化の激しい先の見えない時代だからこそ、会社の目的を示しそれに基づく行動をする。

 イヴォン・シュイナード氏は、社会に非常に強いメッセージを発したのではないでしょうか。

 パタゴニアの取り組みが上手くいくかはわかりませんが、今後も注目していくとともに、私個人としても福島会計の一員としても、地球の資源を返せる以上には奪わないように行動をしていこうと思わされます。

 

 皆様はどのように感じましたでしょうか?

 特に経営者の方は、どのような想いで事業を始め、どのような仲間と一緒に事業を行い、どのような会社を次世代に引き継ぎたいのか、改めて考える機会になるのではないでしょうか?

 経営するうえでミッション(会社の存在意義や役割)を表明することには大きな意味があります。

 ミッションをもとに経営理念を社内に浸透させて未来像(長期事業計画)を作成します。

 その事業計画から逆算して、日々の行動を計画実行していくことで目的が実現できるのです。 

 

 福島会計のミッションは、「新しい時代を生き抜く経営者のパートナー」です。

 福島会計には経営理念をはじめ経営計画書の作成を支援するサービスもございます。

 経営計画書に限らず、事業についての想いをお聞かせいただき、その実現に向けて経営者の隣で伴走するサービスを提供して参りますので、ご相談ください。 

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ