• 2021.08.04

危機を乗り越える~中小企業白書より~

福島会計の小島です。

連日のオリンピックの盛り上がりに冷や水をかけるように、コロナウィルス感染者数が急増しています。ワクチン接種が進むことにより感染者数が減少していくことが期待されていましたが、感染者数は増え続け、デルタ株の感染拡大に歯止めがかからない状況が鮮明になってきました。感染者数をコントロールするウィズコロナから、感染拡大を制圧してのアフターコロナ、そしてニューノーマルへの展開が期待されていましたが、歯止めのかからないパンデミックに翻弄されるいわばアンダーコロナの状況がまだ続きそうです。

2021年4月に中小企業白書が発表されました。これは、2019年12月からはじまったコロナウィルス感染拡大の環境における中小企業の動向が反映された、はじめての白書になります。コロナ禍において、中小企業がどのような影響をうけ、そのなかで各企業がどのように生き延びようとしているのか、これからもまだ続くアンダーコロナ~ウィズコロナにおいて非常に参考になると思います。今回はその中小企業白書から、この危機を乗り越えるためのヒントとなるようなポイントを取り上げてご紹介したいと思います。

まず白書の序盤では、新型コロナウィルスの感染拡大が中小企業に与えた影響について紹介しています。皆様ご認識のとおり、多くの中小企業が大きな影響を受け、その結果として売上高と経常利益は悪化しました。一方で、大規模な資金繰り支援策の効果により倒産件数は減少しました。

次に、コロナ感染拡大によって急激に減少した売上高が、その後どのように推移しているかが紹介されています。初めて緊急事態宣言が発令された2020年4-6月はいずれの業種においても売上高が大きく減少しましたが、その後徐々に回復していることがわかりました。そして、業種を問わず、同業他社と比較して業績が回復していると回答した企業は3割以上存在しています。

では、業績が回復している3割の企業は他の企業と何が異なっているのでしょうか。白書の分析より二つのポイントを取り上げたいと思います。

 

まず一つ目は、感染症の流行を機会ととらえ、事業環境の変化に対応している、ということです。

コロナウィルスが大きな危機をもたらしたことは間違いありませんが、この危機が引き起こした大きな変化を機会ととらえ、変化に対応するための取り組みが、売上の回復につながっていることが推測できます。

 

二つ目は、中長期の経営計画を策定し、その計画を従業員と共有し、実績の評価と見直しを実施している、ということです。

これまでもブログでご案内して参りましたが、経営計画を策定し社内で共有する意義は、自社の課題を明確にし、会社の方向性を定め、社員一丸となって具体的な行動を起こすことにあります。今回の分析の結果は、まさにその意義が有効に作用することを示唆しています。

 

以上、ポイントを抜粋してのご紹介でしたが、中小企業白書の本編には、実際の企業の具体的な取り組みが数多く紹介されていますので、お時間のあるときに是非ご覧頂くことをお薦めいたします。(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho.html

さて、今回紹介した2つのポイントですが、相互に関連性があると考えられます。
経営計画の策定と運用の過程において、事業環境、自社の強みや弱み、自社のポジションなどを把握することができます。そのため、事業環境の変化が及ぼす自社への影響を予測することができ、その変化にいかに対応すべきかが自ずと見えてくる、つまり変化を機会ととらえ、柔軟に対応することができる、というわけです。

経営計画は平時においても、会社の成長のために非常に重要な取り組みですが、今回のコロナ禍のような危機においてこそ、経営計画の策定と運用が非常に重要であることが確認できたのではないでしょうか。

デルタ株の猛威により、徐々に回復に向かうと思われた日本経済が再び不透明さを増しています。まだ続くであろう、この危機を乗り越えるために、ぜひ経営計画の策定に着手してください。福島会計では中小企業の経営計画策定とPDCAの運用をお手伝いしておりますので、是非お声がけください。

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