• 2013.10.09

【ダークツーリズムという言葉をご存知ですか?】

9月に宮城県南三陸町の志津川地区という場所を訪れました。

地震と津波で甚大な被害を受けた日から2年半経ったこの町では、静かに静かに復興が進められながらも、以前は家が連なっていた海沿いの平地にはもう建物は建っておらず、ひと気もなく、物々しい異様な雰囲気を感じざるを得ませんでした。

しかしながら海沿いから少し奥に行った場所に、かつてこの町で商店を開いていた方々が新たに「南三陸さんさん商店街」という商店街を作っていました。
店舗はプレハブ、商店街といってもほんの一角でしたが、そこでは普通に商いが行われ、人々は生活を営んでおり、子供たちは元気に遊びまわっていました。

三陸に行くからには何かしなければいけないのではないか、と、被災地をただ訪れるというだけのことに少し罪悪感を抱いていましたが、この商店街で生活の空気に触れた途端、その思いは吹っ飛びました。
東京にいると悪いことばかりが耳に入ってきますが、ここの人々はとっくに前を向いて普通に生活を送っているのです。
何かしてあげるどころか逆に元気をもらってしまっている自分を恥じるとともに、やはりその場に行かなければわからないことが沢山あると感じました。

もちろんまだまだ問題はあります。
しかし宿泊したホテルのスタッフは、「商店街も頑張っているし、沢山の人に来てもらいたい。知ってもらいたい。皆に忘れ去られて誰にも来てもらえなくなったら、この町は本当の意味で終わってしまう」とおっしゃっていました。
何もできない自分が歯痒くてなかなか被災地のその後と向き合うことができませんでしたが、こういう形での復興支援もあるのだと気付きました。

後になってから知ったことですが、このように戦災や災害の跡を訪れ、犠牲者を悼み、その教訓を次の世代に伝えていこうという観光の新しい考え方を「ダークツーリズム」というそうです。
原爆が投下された広島や長崎、沖縄の戦争の跡などを訪れるのもダークツーリズムの一つと言え、海外でも多くのユダヤ人が犠牲となったアウシュビッツ強制収 容所やアメリカの9.11事件の跡地なども多くの観光客が訪れ、欧米ではこの「ダークツーリズム」という言葉が定着しつつあるそうです。
「ダーク」というと暗いイメージがありますが、この「影」というものは今が「明るい」からこそという前向きな意味が含まれているそうです。

東北の被災地はまだまだ復興も途上、被災者の方々への配慮は絶対に必要ですが、現地の方々の「ぜひ東北へ足を運んで、それを持ち帰って周りの人たちに伝えてほしい」という思いに触れることには大きな意味があります。
単なるレジャーに留まらないこのような観光の形が息の長い復興へと結びつく可能性を秘めているのではないでしょうか。
(福島会計社員税理士・田上 沙織)

宿泊した南三陸ホテル観洋↓
http://www.mkanyo.jp/

南三陸さんさん商店街HP↓
http://www.sansan-minamisanriku.com/

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