• 2020.01.15

調査される税務署

福島会計の野崎です。

今回は、元国税調査官の経験から、「調査される税務署」について、記載いたしました。ぜひ、ご一読ください。

 

税務署とは、国税庁の下部組織として、国税局の所掌事務の一部を分掌させるために設置された国の機関です。

会計検査院とは、国会及び裁判所に属さず、内閣からの独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計処理が正しく行われるように監督する機関です。

 

 

(会計検査院は、税務署を調査します。)
会計検査院は、税務署ごとの納税者のうち、一定の基準を満たす個人・法人について、会計検査院該当として、管理しています。

税務署は、会計検査院該当の個人・法人については、会計検査院に申告書を送付しています。

会計検査院は、このような会計検査院該当の個人・法人の申告書について、税務署の処理の状況についてチェックを行うために、(税務署の規模によって異なりますが)大規模署では、毎事務年度ごとに、税務署に来て、申告内容の確認を行います。

 

 

(調査の主なもの)
1. 申告書上あるいは資料によって、明らかな誤りがある場合、税務署は是正処理をしているか否か。
2. 税務調査を実施している場合、その処理は適正か否か。

上記の結果、是正処理未済や税務調査の処理が適正でなかった場合、会計検査院は、税務署長に対し、適正な処理を(厳しく)指示します。

私の経験からすると、会計検査院が税務署に来ると、(調査結果として)数件の指示があります。

 

 

(会計検査院から税務署に来る旨の事前連絡があった場合の税務署の対応)
今までの会計検査院の税務署に対する指導結果をもとに、国税局から一定基準の申告書等の見直しの指示があります。

また、国税局からの指示項目(例えば、一定額以上の消費税の還付等)に基づいて、会計検査院該当の個人・法人の申告書をチェックします。

チェック結果によっては、(会計検査院が来る前に納税者を調査し)修正申告書を提出させます。

 

 

(会計検査院職員に対する税務署の対応)
1. 税務署は、会計検査院職員(通常3名以上の職員が来ます。それぞれ主に、個人、資産、法人担当等です。)を必ず会議室に案内します。税務署職員が事務に従事する事務室では決して対応しません。

 

2. 会計検査院から提示を求められた書類は、その都度、(事務室から税務職員が)会議室に持ち込みます。しかしながら、かなりの時間をおいてから(提示を求められた書類を再度確認しなければなりませんし、たとえば付箋が付いていないか、不要な書込みがないかなどチェックします。)、当該書類を会議室に持ち込みます。なお、提示を求められても、(現存しているのもかかわらず、)そのような書類はない、あるいは、個人メモであるとして、提示しない場合もあります。

 

3. 会計検査院の調査の対応は、個人課税第一統括官、資産課税第一統括官、法人課税第一統括官といった各部門の筆頭統括官のみが対応します。会計検査院職員から他の職員が質問されても、第一統括官に質問するように促します(総務課長、第一統括官以外は対応しません。)

 

4. 会計検査院は、通常、月曜日から金曜日までの5日間、税務署において、税務署に対する調査に従事します。

当該期間中は、税務署の職員は、①事務室内の税務署組織図・内線番号図・予定表等に係る各書類は、目に触れないようにし(定められた帳簿書類以外の書類は、目の触れないように隠します。)、②できるだけ調査担当は、出張します(日中は事務室内にいないようにします。)。

 

 

いかがでしょうか。

納税者を税務調査で厳しく追及する税務署ですが、会計検査院に対しては、上記のように対応しています。

 

①事務室に入れないこと、

②提示する書類は事前確認すること、

③責任者以外対応しないこと、

④定められた帳簿書類以外は目に触れないようにすること、税務調査の参考になれば幸いです。

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