• 2022.03.30

役員退職金と税金

 

 

スタッフの箱田です。

法人は役員が退職する際に、退職金を支払うことができます。
役員退職金は一般的に大きな金額になることも多く、税金面などの影響をあらかじめ知っておくことが重要です。

 

今回は、役員退職金を支給する法人側・受給する役員側の税金についてと、役員退職金を支給する際に注意が必要なポイントを紹介します。

 

1.支給する法人側の税金

まずは、役員退職金を支給する法人側の税金について、紹介します。

法人側が支給した役員退職金のうち、適正な金額であるものは、法人税法上の損金の額に算入することができます。

また、役員退職金の支給には、定款の規定または株主総会の決議が必要であり、損金に算入される時期は、原則としては、「株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度」とされています。
(一定の場合には、支払った事業年度の損金として処理することも認められます。)

 

2.受給する役員側の税金

役員側では所得税法上の退職所得となります。
退職所得の金額は、原則として、以下のように計算されます。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

※役員の勤続年数が5年以下である場合に、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものは、1/2課税(上記の「× 1 / 2 」の計算)を適用せず、退職所得の金額は、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた金額となります。

 

また、退職所得控除額は、勤続年数によって異なり、下記の算式で計算します。

20年以下:40万円×勤続年数
20年超 :800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

※上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円になり、
また、障がい者となったことに直接基因して退職した場合は、上記により計算した金額に100万円が加算されます。

 

退職金には賃金の後払いという性質があり、退職者の老後の生活を支えるお金であることから、退職所得では、1/2課税や退職所得控除のように、受給者の税負担が少なくなるような配慮がされています。

 

3.役員退職金を支給する際に注意が必要なポイント

続いて、役員退職金を支給する際に注意するポイントを紹介します。
役員退職金の支給を行う場合には、下記2点などの注意点を事前に検討しておくことが重要となります。

 

⑴役員退職金の金額が過大でないか。
法人税法上の損金に算入する役員退職金は、不相当に高額でない、適正な金額である必要があります。
「不相当に高額」かどうかの判断は、在職した期間や退職の理由、同業種同規模の法人の支給状況などの実質的な内容を元に行います。

なお、この適正な額を具体的に計算する方法としては、以下の「功績倍率法」と言われる計算式が使用されることが多いです。

役員退職金の適正額 = 最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率

 

⑵退職の事実認定に関するリスクは無いか。
役員退職金は、退職した役員に対して支給されます。
しかし、退職金が支給されるのは法人から完全に退職するケースだけとは限りません。

代表取締役は退任と同時に完全に退職することが難しい場合も多く、代表取締役退任後に非常勤役員等になるケースでも、役員退職金を支給することがあります。

このような場合にも、「役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合」に支給した役員退職金は損金に算入することが認められます。

 

具体的な例示として、下記が示されるケースがありますが、下記に該当すれば、必ず認められるというものではなく、代表取締役退任時・退任後の状況などから、実質的に判断することが必要になります。

① 常勤役員が非常勤役員になったこと。
② 取締役が監査役になったこと。
③ 地位・職務内容変更後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと。

 

役員退職金は支給額が大きい場合や専門的な判断が必要なケースも多いため、
支給時にご不明な点等がある場合は、専門家である税理士に相談されることをおすすめいたします。

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ