• 2023.06.07

2024年4月1日から義務化される相続登記について解説!

令和6年4月1日から、相続登記が義務化されます。

近年社会問題化している「空き家問題」、「所有者不明土地問題」への対策として、民法と不動産登記法等の法律改正により、今後「相続の開始で所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記をすることが義務となります。

今回はそんな相続登記の義務化の概要や手続きについて解説します。

 

1.相続登記とは

 

亡くなった方(被相続人)から不動産を相続した際に必要となる不動産の名義変更で、第三者に対して土地・建物の所有権を主張するためにも必要となる手続きです。

 

2.相続登記が義務化されるとどんな影響があるの?

 

土地所有者が亡くなった際、亡くなった方の配偶者やお子さんなど相続人は、取得を知ってから3年以内に相続登記することが必要になり、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料が科される可能性があります。

 

法改正前の相続はどう扱われるの?

 

以前に相続した不動産においても、相続登記を完了させていない場合、改正法の施行日から3年以内に相続登記をしなければなりません。氏名・住所などの変更手続きに関しても同様に2年以内に行わなければなりません。

 

3.相続登記をしないとどうなる?

 

相続登記をしない場合に起こりうるリスクは以下のようなものがあります。

 

①不動産を売却できない 

 

相続した不動産を第三者に売却する場合には、相続人の名義にしていなければ売買による所有権移転登記をすることができません。よって、事前に相続登記を完了させた後でないと不動産の売買契約を締結することができません。

 

②不動産を差し押さえされるリスクがある

 

債権者は「代位登記」という手続きにより、債務者が相続した持ち分を差し押さえることができるため、借金を滞納している相続者がいた場合には、不動産が差し押さえられる可能性もあります。そのような事態を回避するには、差し押さえられる前に全ての相続人が相続登記もしくは相続放棄の手続きを済ませておく必要があります。

 

③権利関係が複雑になるリスクがある

 

遺産分割協議が行われず、相続登記をしないまま相続人のうちの誰かが亡くなると、次の遺産相続が開始されてしまいます。また、法定相続人がすでに亡くなっている場合には、代襲相続が発生し、相続人の数が増えると権利関係は複雑化するため、相続人間で面識がない場合や、連絡先が分からないような状態では、遺産分割協議を行うことさえ困難になります。

 

4.相続登記の手続きの流れ

 

申請手続きは、相続する土地を管轄している法務局で行います。大まかな流れとしては、以下の通りです。

 

①相続する不動産を確認する

②遺言または遺産分割協議で引き継ぐ人を決める

③相続登記に必要な書類を収集、作成する

④管轄の法務局へ申請する

 

登記の申請については、登記事項証明書に必要事項を記入したうえで登録免許税分の収入印紙を貼り付け、必要書類と併せて法務局の窓口もしくは郵送で提出したのち、登記の完了を確認すれば終了です。

 

5.相続登記にかかる費用はどのくらい?

 

相続登記にかかる費用は、「①登録免許税」と「②必要書類の取得費用」です。登録免許税の金額は不動産の固定資産評価額の0.4%となり、税金を納めるための収入印紙は法務局または郵便局で購入できます。申請書に添付する戸籍謄本、登記事項証明書、印鑑登録証明書、住民票などそれぞれの取得にも費用がかかります。

戸籍謄本は1通あたり500〜700円ほど、登記事項証明書は1物件あたり600円、印鑑登録証明書は500円ほどかかるため、総額で2〜3万円ほどとなるケースが多いと考えられます。司法書士に相続登記を依頼する際にはさらに手数料の支払いが生じます。

一般的な相場は3〜10万円程度となっているので、自力で手続きを行う時間と労力などを考慮すると、司法書士へ依頼したほうがスムーズに相続登記が完了するでしょう。

 

6.まとめ

 

弊社では、相続に関するご相談も承っており、相続税申告に伴ってこのような不動産登記が煩雑となってしまっている現場を経験することもあります。こちらの法改正により、単なる事務的な側面だけでなく、国レベルでの様々な問題解決が図られることを願いつつ、引き続き当ブログをお読みいただく皆様への情報提供に努めていきたいと考えております。

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