• 2020.12.02

相続税法における配偶者居住権等の評価の考え方について

 

元国税調査官の野崎です。

 

今回は、相続税法における配偶者居住権等の評価の考え方について記載いたしました。

 

相続税法における配偶者居住権等(配偶者居住権、居住建物、敷地利用権及び居住建物の敷地をいいます。以下同じ)の評価の考え方は次のとおりです。

 

【配偶者居住権の評価の考え方】

居住建物の所有者は、配偶者居住権存続期間終了後に居住建物を自由に使用収益することができる状態に復帰することとなります。

この点に着目し、配偶者居住権の価額は、居住建物の所有権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め、それを現在価値に割り戻し、居住建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を控除した金額によって評価します。

 

具体的には

①配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を減価償却に類する方法を用いて計算する

②①で計算した配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の時価を法定利率による複利現価率を用いて現在価値に割り戻す(所有権部分の将来価値を現在価値に割り戻した価額を求める)

③居住建物の時価から②で求めた価額を控除して配偶者居住権の価額を求めようとするものです。

実務上は、配偶者居住権等の評価明細書により配偶者居住権及び所有権の価額を評価することができます。

 

【居住建物の評価の考え方】

居住建物の価額は、相続開始時における配偶者居住権が設定されていないものとした場合の居住建物の時価から配偶者居住権の価額を控除した残額により評価することとされています。

 

【敷地利用権の評価の考え方】

居住建物の敷地の所有者は、配偶者居住権存続期間終了後に居住建物の敷地を自由に使用収益することができる状態に復帰することとなります。

この点に着目し、敷地利用権の価額は、居住建物の敷地について、所有権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め、それを現在価値に割り戻し、居住建物の敷地の時価からその割り戻した所有権部分の価額を控除した金額によって評価します。

具体的には

①配偶者居住権存続期間終了時の居住建物の敷地の時価を法定利率による複利現価率を用いて現在価値に割り戻す(所有権部分の将来価値を現在価値に割り戻した価額を求める)

②居住建物の敷地の時価から①で求めた価額を控除して敷地利用権の価額を求めようとするものです。

 

なお、将来時点における土地等の時価を評価するのは不確実性を伴い困難な場合が多いと考えられること等から、時価変動を捨象し、相続開始時の価額をそのまま配偶者居住権存続期間終了時の時価として用いて計算します。

実務上は、配偶者居住権等の評価明細書により敷地利用権及び所有権の価額を評価することができます。

 

【居住建物の敷地の評価の考え方】

居住建物の敷地の価額は、土地等の相続開始時における配偶者居住権が設定されていないものとした場合の時価から敷地利用権の価額を控除した残額によって評価することとされています。

 

【福島会計の相続対策サポート】

円滑・円満な相続のためには、早くからの準備と対策が一番重要です。

福島会計では、配偶者居住権等を活用し、次世代への財産の引継ぎを確実に、円満にするために必要なご提案をさせていただきます。

また相続こそ、お願いする税理士によって最終的な相続税額が違います。

相続が発生した時には、相続税申告多数の経験を活かして、最新の税法と節税方法を駆使して無駄な税金を払わないで済む申告をさせていただきます。

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ