• 2021.01.15

適用の準備はお済みですか?中小企業のパートタイム・有期雇用労働法

 

スタッフの荘です。
新型コロナウイルス新規感染が過去最多を更新し続け、新年明けて間もなく再度の緊急事態宣言発令という状況になりました。
そのような中でコロナ対応に追われ、今年2021年4月より中小企業にも適用となる「パートタイム・有期雇用労働法」の理解や準備がまだ・・・
という企業も多いかと思いますので、今回はこの「パートタイム・有期雇用労働法」の内容とポイントについてお伝えいたします。
パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇用されている中小企業の経営者の方は、ぜひご一読下さい。

 

(1)パートタイム・有期雇用労働法の概要
同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できることを目的とするものです。
働き方改革の一環として2020年4月より大企業においては既に施行されており、この「同一労働同一賃金」という考え方は社会的にも大きく取り上げられ、過去ニュース等で何度か皆様も耳にされているかと思います。

 

(2)パートタイム・有期雇用労働法のポイント
①不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、「不合理な待遇差」を設けることが禁止されます。「不合理な待遇差」があった場合は労働者から訴えられる可能性があるため、裁判の際の判断基準が整備されました。
では具体的にどのような待遇が「不合理」といえるのかについて、はっきりと分かりづらいところですが、これに対しては「同一労働同一賃金ガイドライン」にて、考え方と具体例が示されています。ガイドラインには法的拘束力はありませんが裁判上の考慮要素が例示されていると考えられます。その中から一例として問題となるもの、ならないものをご紹介します。
例:基本給について(「同一労働同一賃金ガイドライン」より抜粋)
イ:A社においては、同一の能力又は経験を有する通常の労働者であるXと短時間労働者であるYがいるが、XとYに共通して適用される基準を設定し、就業の時間帯や就業日が土日祝日か否か等の違いにより、時間当たりの基本給に差を設けている。
ロ:基本給について、労働者の能力又は経験に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの経験を有することを理由として、Xに対し、Yよりも基本給を高く支給しているが、Xのこれまでの経験はXの現在の業務に関連性を持たない。
ハ:基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しているA社において、期間の定めのある労働契約を更新している有期雇用労働者Xに対し、当初の労働契約の開始時から通算して勤続年数を評価せず、その時点の労働契約の期間のみにより勤続年数を評価した上で支給している。
問題となるかならないかご判断いただけましたでしょうか。問題とならないのがイ、問題となるのがロ、ハです。
なんとなく分かるという方もいらっしゃるかもしれませんが、基本給、各種手当などに対する根本的な考え方を理解していなければ判断が難しいこともあると思います。ガイドライン概要を読んでみると「うちのケースは正しいのか?」という疑問も出てくる可能性もありますので、参考として掲載いたします。
ガイドライン概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
(※全文PDFはページ中ほどにあり)

②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
パートタイム労働者・有期雇用労働者は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができるようになる、というものです。
この説明義務に関して、単なる主観的・抽象的な「会社への貢献度や期待される役割が異なる」というのみでは説明になりません。
説明義務を果たすため、上記のガイドラインに基づいてパートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇を見直し、情報を整理しておく必要があります。

 

以上、簡単にパートタイム・有期雇用労働法について解説いたしました。
そもそも賃金決定の方法が明確でないなど、規定自体が整備されていない中小企業は少なくないかと思います。
テレワークの活用など労働環境も激変する中、この機会にパートタイム労働者・有期雇用労働者に限らず、
自社の待遇の体系を見直してみてはいかがでしょうか。
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