• 2017.06.28

「こども保険」構想について

福島会計の小島です。7月は、会社にとって社会保険・労働保険の年次手続きの季節です。年金事務所などから手続き書類が届いていると思いますので、お忘れなくお手続きください。

 

さて、社会保険といえば最近「こども保険」という新しい構想が話題になっています。

「こども保険」とは、自民党の小泉進次郎議員を中心とする若手議員が今年3月に提言した新しい社会保険制度です。社会保険料率を0.1%上乗せすることで3,400億円の財源を確保、将来的には0.5%まで引き上げ1.7兆円の財源を確保し、保育・幼児教育を実質無償化するという内容となっています。

政府が69日に閣議決定した「骨太の方針」にも幼児教育・保育の無償化や待機児童対策が盛り込まれていますが、その財源として有力視されているものです。

 

現役世代への実質増税であり高齢者世代が優遇される、子供のいない世帯は負担が増すだけである、国債や消費税などでまかなうべきではないか、など様々な意見が出ていますが、少子化対策は日本社会の大きな課題であり、社会全体で支えるという考え方そのものは議論の余地はありません。

 

米シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の研究によると、良質な幼児教育プログラムが生み出す成果を経済的に評価すると収益率は年率8%にのぼり、株式投資から得られる平均的な収益率を大きく上回るといわれています。文化や前提条件などにより多少の前後はあるかもしれませんが、幼児教育の充実による恩恵が、子育て世代だけでなく、社会全体に幅広く波及する可能性を示唆しています。

 

「こども保険」については、まだまだ議論の余地は大きいですが、少子化対策についての議論が深まるきっかけになれば良いと思います。また、子育てに対する支出は費用ではなく投資である、という認識が浸透すれば、社会全体で支えていくという共通認識が醸成され、少子化問題の解決に近づいていくのではないでしょうか。

 

社会保険料の負担は決して軽くはなく、保険料率の上昇は一層その負担を増すものとなります。社会保険制度が高齢者だけでなく若年層にもその恩恵が行きわたり、需要の喚起や労働力の確保に大きくつながるなど、負担する側にとっても大きなメリットのある制度になることを期待します。

Facebook 税理士法人福島会計をフォローする

トップへ